スタッフ日記
2018年7月 シドニーで「HARS、歴史的航空機修復協会」を見に行く(後編)
コックピットで
コックピットでは、キャセイパシフィック航空元キャプテンのPeteさんが電源の入った計器を前に解説してくれます。エンジンの始動の仕方、離陸、エマージェンシー時のエンジンカットオフ。チェックリストを読み上げてくれるので、パイロットになった気分で操作します。車輪収納以外の全てのスイッチを操作してもいいとのこと。コックピットの窓の外はイラワラ空港の滑走路が見えており、まさに動き出しても違和感のない風景が広がります。コックピットからの脱出ドアと、エスケープスライドを見せてくれました。この小さなハンドルで脱出する勇気はありません。
コックピット内にパイロット用トイレとクルーバンク1台。もう1台は、アッパーデッキ後方の階段の横に機体のふくらみを活用して余った左舷の場所に作られていました。右舷側は、ギャレーです。メインデッキのギャレーとをつなぐカート用のリフトがジャンボジェットならではの特徴です。
翼の上を歩く
このツアーでは「ウィングウォーク」があります。右主翼の上を歩けるのです。R3(右舷3番目)ドア付近で落下防止の装具を身に付けます。翼の上に渡したワイヤーに繋げて命綱にしています。翼の上の非常用ドアから、ハシゴを使って主翼に降り、滑り止めのマットの上を主翼の中ほどまで歩いていきます。今までに目にしたことの無い光景が広がっていることに感激。翼を足もとにして見る機体の様子は、新鮮です。ウィングレットも間近で見えて改めてジャンボジェットの巨大さを実感します。写真を撮ってくれるというのでカメラを渡すと、何故か自然に両手を広げて舞うポーズを取っていました。誰もが自然にその形になると笑られました。
コニーを見る
飛べる機体として保管されているのは「ロッキードC-121Cスーパーコンステレーション」通称コニー。3枚尾翼と細身の胴体の優雅なスタイルで人気です。機体番号VH-EAGはゆったりとしたソファーのような座席が装備された機内も綺麗に残っています。就航当時のサービスの様子があたかも今飛行中と言わんばかりに目に浮かびます。コックピットは密集した計器のある洞窟のような佇まい。18気筒のライトR3350-93Aエンジンが大きく翼を支え、力強くハミルトン社製プロペラをまわします。
お宝機体が続々と
飛べないけれど、保管用として「コンベア440」のVH-TAA、「ダグラスDC-3」VH-EAFや修復中の「ダグラスDC-4」VH-EAYなどが格納庫に所狭しとならんでいます。軍用機もあり、ジェナラルダイナミクスのF111C、ベルAH-1ヒューイコブラやロッキードP2Vネプチューン・P3Cオライオンなども。
最後にミュージアムショップを見て見学終了となります。ポロシャツや帽子、キーチェーン、コースターや本などグッズがたくさん。時間があればカフェ「コニー」で休んでいきましょう。
HARSの未来
俳優のジョン トラボルタが所有するボーイング707が寄贈されることでも話題に。1964年製造の707はカンタス航空で30年以上飛行したあとにトラボルタの所有となりました。現在、アメリカのフロリダでオーストラリアまでの飛行に向け準備中で、今後の受領に向けて用意が進められているとのこと。この博物館の素晴らしいところは、飛べる機体は飛ばす気概があることやジャンボジェットも電源が入って生きていること。実機を保存することさえ日本では難しいと思えるなか、素晴らしい環境です。トラボルタの707も飛べる状態で保存になりそうです。15:00閉館の時間を名残惜しく迎え、博物館を後にしました。
飛行機をまだ見ていたい気持ちが募り、そのままシドニー空港のスポッティングポイントへ向かいます。ボーイング737-800 レトロルーⅡのVH-VXQやカンタスリンクのDHC8-Q400が元気に飛んでおり、楽しいシドニー滞在の時間は過ぎて行きました。
協力:HARS ⇒ https://hars.org.au/
- 2018.07.14
- 20:17
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